家族が集まるリビング~心地よい空間の作り方

リビングとは、一家団欒を楽しむことを目的として設置される部屋を指し、家の中心的空間になります。家づくりでも重視され、空間を大きく取ることの多い部屋ですが、広くするだけで心地よい空間になるものでもありません。家族が自然と集まるリビングの多くは、同じことを一緒に楽しめる、そして別々のことをしていてもお互いがくつろげる、両極とも言える2つの条件を満たす空間が作られています。本記事では、リビングの実例を見ながら、心地よい空間を作るポイントを押さえていきましょう。


リビング+マルチに活用できるヌック

畳が敷かれた小上がりでくつろげる「ヌック」を取り入れたリビング。小上がりは長方形の一角を落としたような形状によってLDK間の動線を良くするだけでなく、見た目の柔らかさ、デザイン性の向上にもつながっています。ヌックの壁面には四半円形にくり抜いたような奥まった位置に、2人が並んでゆったり使える長さのカウンターを設置。カウンターの上下には複数のコンセントが設けられ、仕事や勉強にも集中しやすいスタディースペースとしても活用できます。


リビング+格子戸で仕切る和室

格子戸の仕切りがある和室を設けたリビング。通風や採光に優れ、美しさで空間を飾り、リビングの重要な存在となっている格子戸。視線が通る扉によって空間を分けられるので、同じ部屋にいながら別の空間にいるような心地よい距離感を生みます。開口部を設けられる壁が限られていても、仕切りを格子戸にしたことで主要採光面からの自然光を最大限に活用し、部屋の奥まで光が届くように設計されています。


開放感とおこもり感が両立する空間

視線や場所によって印象が変わるリビング。天井付けの掃き出し窓があるリビングでは、大開口によって大きな開放感を得られます。その反対側には、スタディースペースとしても活用できるよう窓と並行にカウンターを設けた小上がりを設置。小上がりにはダイニングキッチンがあるエリアと隔てる間仕切りがあり、壁の近くに座るとLDKの見える範囲を狭め、おこもり感が強まります。視線を向ける方向や座る位置によって、開放感もおこもり感も楽しめる工夫が凝らされた空間です。


くつろぎ空間と遊び場の一体化

玄関からつながる土間と一体となったリビング。土間だけでも十分な広さがあるので、悪天候の日でも簡単な外遊びが楽しめます。さらに、玄関と土間を仕切る引き戸を開ければ、子どもにとっては大きな遊び場が生まれます。ソファーは土間側に面してレイアウトすることで、大人は座ってくつろぎながら遊んでいる子どもに目を向けられるようになり、お互いに安心して過ごせるリビング空間が実現しています。


メリハリを利かせる空間上部と内装

天井の高低差や内装の違いで空間にメリハリをつけたリビング。ソファーが配置された空間上部は高天井になっていて、窓が規則性をもって並ぶように設置され、見た目の美しさと採光の両方を実現。小上がりの空間上部は、床と形状を合わせて天井の高さと仕上げ材を変え、さらに壁の一面だけ暗いトーンの色にしたことで、開放的なソファーエリアとは対照的な、落ち着きを感じられるスペースに。天井の高低差や内装の違いによって、間仕切りがなくても空間にメリハリが利いています。


人が集うリビング、中庭、外へのつながり

家族や仲間が集まるための工夫を凝らした家。中庭を囲むように間取りが考えられ、リビングには中庭に面して大開口を設置。中庭と外の仕切りは格子にすることで、ゆるやかに外からの目線を遮りつつ、ほどよい透け感で外とのつながりを生んでいます。大人数が集う機会も想定し、全員が楽しめるスペースとしてホワイエが設けられました。リビングから中庭、そしてホワイエへとつながる家で、集まる人が心地よく過ごせる空間が作られています。


まとめ

家族が集まるリビングを心地よい空間の作り方にも一つの正解はなく、多種多様な方法がありますね。家族の人数やライフスタイル、趣味趣向によっても取り入れたい要素は違ってきますが、リビングを心地よい空間にしたいという思いは共通です。家族が集って長い時間を過ごしても心地よさを感じる空間を作る。そのために大切なのが、同じことを一緒に楽しめる適切な「開放感」と、別々のことをしていてもお互いがくつろげる適切な「距離感」ではないでしょうか。施工事例には、それぞれの施主様の取り入れたい要素が詰まっています。たくさんのアイディアに触れ、取り入れたいと思える要素を見つけてみてくださいね。